管理職育成が難しい理由

マネジメント力が育たない背景と育成手法を整理します。なぜプレイヤーとして優秀な人が管理職になっても機能しないのか、その構造的な問題と解決アプローチを解説します。

「優秀な営業マンだったのに、管理職になったら機能しなくなった」「部下が育たない管理職が多い」「管理職研修をやっても変わらない」——。管理職育成は、多くの企業が頭を悩ませる難題です。

プレイヤーとしての能力とマネジャーとしての能力は、根本的に異なるスキルセットを必要とします。この「マネジャーへの変容」を支援する育成設計が、多くの企業で不十分なのが現状です。本記事では、管理職育成が難しい理由と、効果的なアプローチを解説します。

「優秀なプレイヤー」が「優秀なマネジャー」になれない理由

営業成績トップの社員が管理職になり、チームの成績が落ちた——これは「ピーターの法則」として知られる現象の典型例です。人は自分が優秀であるポジションまで昇進し続け、その後は無能なポジションに留まる、という法則です。
プレイヤーとして優秀であることは、マネジャーとして必要なスキル——傾聴、フィードバック、目標設定、チームビルディング、意思決定——とは別物です。しかし多くの企業では、「成果を出している人が次のステップへ」という評価軸で管理職を選んでしまいます。
管理職登用の選考基準に「マネジメント適性」を組み込むことが、育成の前提として重要です。

「管理職になってから学ぶ」では遅い——事前準備の重要性

多くの企業では、管理職に昇格してから研修を受けさせるという順序になっています。しかし、部下を持ち、日々の業務に追われながら新しいスキルを習得するのは容易ではありません。「学びながら実践する」という状態が続き、その間に部下は不満を溜め、チームのパフォーマンスが下がります。
理想的なのは、管理職候補者を早い段階で特定し、昇格前から育成を始めることです。「選抜型のマネジャー候補育成プログラム」では、小チームのリーダー経験、プロジェクトマネジメント、フィードバック演習などを通じて、昇格前に実践的なスキルを身につけさせます。
「昇格後に育てる」ではなく、「昇格前に育てる」という発想の転換が必要です。

「研修だけ」では変わらない——経験学習の設計

管理職育成において、座学研修の限界は明確です。コールバーグの研究などが示すように、人の成長の70%は「経験」から、20%は「他者からの学び」から、10%は「研修などの教育」から生まれるとされています(70:20:10モデル)。
つまり、研修だけで管理職を育てようとするのは、そもそも設計として不十分なのです。重要なのは、「成長につながる経験」を意図的に設計することです。困難なプロジェクトのリーダーを任せる、異部門との折衝役を担わせる、若手への指導役を経験させる——こうした「ストレッチアサイン」が、最大の学びの場になります。
経験学習と研修を組み合わせた統合的な育成設計が、管理職育成の王道です。

現役管理職のフォローアップ——「育てながら磨き続ける」

管理職育成は、昇格時だけの問題ではありません。現役の管理職が日々の業務の中で学び続ける仕組みを作ることが、組織全体のマネジメント力の底上げにつながります。
現役管理職向けの施策として有効なのが、ピアコーチング(管理職同士での相互支援)、外部コーチングの活用、360度フィードバックによる自己認識の促進などです。
また、経営課題に直結したプロジェクトへの参画を通じて、戦略的思考やリーダーシップを現場で鍛えることも重要です。管理職育成は、「一度やれば終わり」ではなく、継続的な支援の積み重ねで実現します。

まとめ:管理職育成は「組織の競争力」に直結する

管理職育成が難しい理由は、必要なスキルセットがプレイヤーと根本的に異なること、研修だけでは変えられない経験学習の比重の大きさ、そして継続的な支援の仕組みの欠如にあります。
管理職の質が組織のパフォーマンスを左右することは、多くの研究が示しています。部下のエンゲージメント、チームの生産性、離職率——これらは管理職の行動と深く連動しています。
管理職育成への投資は、組織全体への投資です。「優秀なプレイヤー」を「優秀なマネジャー」に変える設計を整えることが、持続的な組織の競争力を生み出します。

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